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CaO/H2Oケミカルヒートポンプと顕熱蓄熱を連結し、再エネ蓄熱発電の実現を目指したHyTES実証試験

CaO/H2Oケミカルヒートポンプと顕熱蓄熱を連結し、再エネ蓄熱発電の実現を目指したHyTES実証試験

加藤 之貴 研究室

研究の背景および目的

再生可能エネルギーは非定常のために出力制御(2024年度、日本、2.4 TWh)が普及の課題でありCN社会構築に向け、安全かつ低コストで大規模な蓄エネが求められる。HyTESは顕熱とケミカルヒートポンプ(CHP)を組合わせることで500℃の蓄熱、600℃高温出力を実現し、高効率の再エネ蓄熱発電が可能であり、再エネ有効利用によりCNに貢献できる。

研究内容

水酸化カルシウム/水系を用いた安全・低コストで熱反応性が高い蓄熱ブロックを開発し600℃の高温CHPを世界初で実証した。顕熱蓄熱は出力降温が課題であったが、HyTESではCHPとの連結により温度一定で熱出力が可能である。伝熱媒体を溶融塩とすることで常圧、高効率熱輸送運転が可能な世界で唯一のシステム。研究では社会実装に向けた材料の改良、装置のスケールアップ、システム最適化を行う。

GX技術発展にて期待される効果

LIB電池に比べて蓄電・発電効率が劣るが、総合システムコストは安価で、LCA環境インパクトが小さい。水素システムに対しても同コストは安価。システムが安全で、材料も安全、安価で国産材料と技術で対応でき、社会実装性が高いGX技術。国内再エネの出力制御は今後100 TWh/y (約2兆円/年)を超えると予想され、再エネの大量安価な貯蔵は貯蔵は重要であり、本システムの社会貢献性は高い。不要の火力発電施設を活用し、再エネ余剰電力を電熱変換して蓄熱し、必要時に蓄熱を用いた蒸気タービンにて発電することで、CO2排出の無い慣性力を有した再エネ蓄熱発電が可能である。熱利用産業にも応用可能である。

電力蓄熱発電システム(P2H2P)の基本構成(CHP:ケミカルヒートポンプ)

1,出力抑制再エネを低コストで仕入れ、高需要時に売電できる

2.蓄電池より低コスト、大規模向けにスケールアップが容易な蓄エネルギー発電システム

3.タービン発電を有するため、蓄電池に無い電力供給に慣性力がある。出力変動する再エネ電力の安定供給に必須である

4.高温熱の産業直接利用による高効率利用、セクターカップリング利用

5.ドイツ、EU、米国などで研究開発が先行

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